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受験の仕組みを解き明かせ!2014年掲載(2018年追記)

① 定説に疑問!

山口県の高校入試の仕組みは、一般的に

「学力検査は250点満点(国・数・社・理・英の各50点)で、内申点は135点満点(9教科×5段階評価×3年分)」

と言われています。


そして、合格者を決める際は、

「まず学力検査点と調査書点(内申点)の共に上位80%以内に入っている者を合格とし、残りの合格者を学力検査点と調査書点の合計が高い順に決める」

と言われています。(以下、これを定説と呼びます。)


私自身もネット等でよく見かけるこの説を信じて疑いませんでした(なお、内申点は180点満点説ではないかと考えていました)が、時々この定説では納得できない合否判定がありました。

この定説では、学力検査得点は内申点の約2倍の配点があり、
「入試本番の学力検査にて高得点を取れば、内申点を十分カバーできる」と言えるはずです。


ただある年、同じ高校を受験した学力検査得点に約30点(※自己採点による)の差がある2人の者において、下の得点の子が合格し、上の得点の子が不合格になるということがあり、さすがにこの仕組みに疑問を抱かざるを得ませんでした。

納得できない私はこの仕組みの根拠を調べることにしました。

そして、色々と調べていくうちに、これまでの定説は大きく間違っていると思うようになりました。

以下は新説に至るまでの経緯です。

②全国の試験制度

山口県の入学者選抜実施要領には「国・数・社・理・英の配点は各50点」とありますが、内申点の具体的な記述は見当たりません。公開されている他の資料にも目を配りましたが、どこにもそれらしき物は見当たりません。

いったいどこから内申点135点説が出てきたのか?(この説の出所は③で述べています)
何となく、私は他県がどのような受験の仕組みになっているかが気になり、他県の入学者選抜実施要領を調べていくことにしました。

とりあえず調べたことは、山口県以外も「内申点の記述は書かれていないのだろうか?」ということです。

そして調べて驚きました。事細かく、配点の仕組みやその計算方法までが記述されているではありませんか!

恥ずかしい話、私自身、山口県内での受験にしか携わることがなく、他県のことは眼中にありませんでした。

全国で内申点や配点の仕組みを入学者選抜実施要領に記載していない自治体は、山口県を含めた数県だけなんだと、今初めて知りました。山口県は少数派の非公表だったんですね…。

まずハッキリしたことは、山口県は受験制度の大部分が非公表で、内申点135点という説はただの推測でしかないということです。

③ 発見!「内申点135点説」の正体!

では、いったいどこから内申点135点説が出てきたのか?

調べていくうちに、県内のいくつかの私立高校に提出する調査書の書式と、「調査書の書き方」について確認することができました。(調査書とは内申点が書かれる用紙のことです)

「調査書の書き方」にはこう記載があります。

「調査書の書式は公立高校へ提出するものに準ずる」
「記入要領は公立高校のものと同じ」

要するに、私立高校と公立高校は同じ書式(用紙)を使い、同じ基準で評定などを記入しているということです。

そして、その書式をよく見ると、各学年の評定(通知表の1~5の評価)を記入する欄があります。
3学年分の全9教科を記入するようになっていますので、

9教科×5段階評価×3年分で計135点満点!

あー、これが内申点135点説の出所なのだなと、私なりに納得しました。

④ ついでに発見! 内申点は○学年の○学期のものだった?!

昔から気になっていた疑問があります。いったい何学年の何学期のものが内申点になっているのだろうか?というものです。

毎年受験生の間で議論の的になっているこの問題。もちろん山口県は非公表なので入学者選抜実施要領にも記述されていません。

この私立高校の調査書には「一学期」「二学期」「学年末」といった欄はなく、各学年評価を記入する欄が一つあるだけです。じっくり見ても、どんな基準で記入するのか分かりません。

実は、この謎を解く鍵も「調査書の書き方」にありました。

「評定は指導要録から転記する」

「指導要録」、聞き慣れない言葉です…。通知表を指す言葉ではありません。

そこでまた調べました!そして山口県ではありませんが、福岡県の資料からこれについて分かることがありました。

「指導要録」とは、各中学校が生徒の成績を記載している書類です。

そこには各学年各学期の評価を毎回記入するのではなく、各学年一年間を通した評価を1回記入するようになっています。(一年間を通した評価をどう計算するかも、ここには細かくありました。)

そして指導要録へ記入した評価は、通知表の学年末の評価の欄に転記するようになっています。


「通知表の学年末の評価(1~5)」=「指導要録に書かれている評価」=「調査書に記入する評価」


要するに、高校受験で参考にされる内申点は、通知表の各学年の学年末の評価だということです。

昔から「学年末の評価は一年間まとめた評価である」という噂はありましたが、本当であることが分かりスッキリです!

⑤ 「調査書を重視する」の謎

さて、他県の入学者選抜実施要領を見ると、ほとんどの都道府県で『学力検査』と『調査書(内申点)』の「比重」について書いてあります。

ここでいう「比重」とは、『学力検査』と『調査書』の得点の割合を「5:5」や「4:6」とすることです。
その比重になるように、それぞれの得点を定められた計算式に当てはめて、得点を調節していきます。

全国的に多かったのは、学校ごとに入学者選抜実施要領に定められた比重を選べる仕組みです。

では、山口県の仕組みはどうなっているのか。山口県の入学者選抜実施要領にはこうあります。


「調査書を重視する」


この一文だけです。

比重が何対何なのか?そもそも比重という仕組み自体あるのか?当然非公表ですから、何も記載してありません。

ただ、おそらく「重視する」という言葉から、山口県は「学力検査:調査書」の比重を調査書重視の比重にしているのだと思います。いったいどの程度の比重なのか…。

定説の「学力検査得点250点+内申点135点」では、比重が「学力検査:調査書」=「6.5:3.5」となりますので、とても調査書重視だとは言えません。必ず何らかの計算式に当てはめて、比重を変えているはずです。

とは言っても、山口県は何もかもが非公表なので探しようもなく、ひとまず私は、他県において調査書重視の高校の比重がどうなっているのかを調べてみました。

⑥ 比重を予想する

調べて気づいたことは、入学者選抜実施要領に調査書を重視すると明記している都道府県は山口県だけでありました。

他県のほとんどでは、何を重視するかは各高校が判断するとあり、全高校に調査書を重視させるような表記のある山口県は、かなり独自路線を行っています。

それで、他県での調査書重視の場合の比重ですが、概ね「学力検査:調査書」=「4:6」、「3:7」、「2:8」のどれかです。山口県も「調査書を重視する」と言っている以上、これらの比重に近いはずです。

では、どのくらいの比重が妥当だと言えるのか?

①で記した30点差の逆転劇を実現するには、「学力検査:調査書」=「3:7」ならギリギリ可能です。

他県でも調査書を重視する場合には「4:6」や「3:7」の適用が多いので、ここが妥当だと思います。でも本当に調査書を重視するなら「2:8」もありですね。

ただし、 山口県に比重の制度自体が存在するかどうかも、全てが非公表なために分かりません。

あったとしても、高校ごとに比重を選べるのかも分かりません。(これについては⑭で私なりの結論を出しております)

とりあえず、「学力検査:調査書」=「3:7」にするためには、単純に調査書の得点を約4.3倍することになります。また、「学力検査:調査書」=「2:8」であるなら約7.8倍することになります。

⑦ 進学校は学力検査を重視するのか?!

巷では「進学校は学力検査を重視するので、本番で点数を稼げば内申点が低くても大丈夫!」という話をよく聞きます。

実は、①で触れた30点差の逆転劇は防府高校受験での話です。

防府高校は山口高校や宇部高校などには劣りますが、いわゆる進学校の一つです。
そこでその年に起こったこと、そして、以前に学力検査140点台で防府高校に合格した生徒の内申点を考慮すると、

進学校でも「学力検査:調査書」=「3:7」はあると言えます。

等しく扱う「5:5」や、学力検査重視の「学力検査:調査書」=「6:4」や「7:3」ではこの逆転劇は決して起こりません。(※ 自己採点を元にしての話しなので、多少は点差に違いがあると思います)


また、こういう資料があります。

H14年度から、通知表の評価が相対評価から絶対評価に変わりました。この絶対評価だと極端な話、クラス全員に「評定5」が付く可能性もあります。

その翌年、そういった懸念から、宇部市議会で教育長にこのような質問がありました。


「進学校では内申点を当てにせず、学力検査重視の合格判定をしているでは?」


そして、教育長はこう応えます。


「公立高入試の選抜に当たっては、調査書を重視し、調査書の学習の記録と学力検査の成績は同等に扱う」


やはり、進学校であれど、調査書(内申点)重視の姿勢は維持しているのでしょう。(これについても⑭で私なりの結論を出しております)

もし、私の考えが真実に近ければ、内申点が低い生徒は慎重に受験先を決めるべきですね。

因みに、この「選抜に当たっては、調査書を重視し、調査書の学習の記録と学力検査の成績は同等に扱う」という文言は、実は山口県の入学者選抜実施要領に記載されている一文と全く同じなのです。

要するに、山口県は決して公の場で具体的な受験の仕組みを公表しないということなんですかね…。

⑧ 何か引っかかるぞ?

さて、お気づきの方もいるであろうと思いますが、
この「選抜に当たっては、調査書を重視し、調査書の学習の記録と学力検査の成績は同等に扱う」って一文は何か引っかかりませんか!?(※「学習の記録」とは1~5の評定のこと、つまり「内申点」)

「選抜に当たっては、調査書(内申点)を重視」と
「調査書の学習の記録(内申点)と学力検査の成績は同等に扱う」。

これって「内申点を重視する」と「内申点と学力検査は同等に扱う」って矛盾した説明になっていませんか??

私もこの文言には、最初に入学者選抜実施要領に目を通したときから気になっていました。

次はこの謎を解き明かしていきます。

⑨ 「同等に扱う」とは?

この「調査書の学習の記録と学力検査の成績は同等に扱う」という文言は、実は他県の入学者選抜実施要領にもよく出てくる文言です。それら他県の入試選抜方法を比較することで、比較的簡単にこの謎解きができました。

この文言のある都道府県の選抜方法に共通することは、


・ 学力検査の得点順に順位をつける
・ 調査書の得点順に順位をつける


ということです。

そして、ここからは都道府県によって選抜方法が数種類に分かれるのですが、
例えば、まず学力検査点と調査書点の共に上位80%に入っている者を合格とし、残りの合格者は学力検査点と調査書点の合計点の高い順に選んだりとか、調査書点を重視して選んだりとか様々です。

このように、学力検査点と調査書点の単純な合計点で合格者を決めるのではなく、どちらの順位においても上位にいる者から合格者を決める選抜方法であれば、調査書と学力検査を「同等に扱う」ことができます!

定説でも山口県はこの方法を採用していると言われていましたが、他県との比較からもこれで間違いないと思います。

しかし、肝心な具体的な選抜方法は非公表ですので、定説で言われているような「まず学力検査点と調査書点の共に上位80%に入っている者を合格とする」という仕組みを採用しているとまでは断定できません。

ただ、具体的な選抜方法が何にせよ、調査書(内申点)の得点不足を学力検査で補うのは難しいと言えます。

⑩ 「相関表」の存在

なお、山口県と同じく調査書と学力検査を同等に扱っている他県の多くでは、「相関表」なるものを用いて合格判定をします。

さて、山口県の定説では、学力検査点と調査書点の各上位80%から漏れた場合、これらの合計点の高い順に合格者を決めていくことになっております。

これなら、まだ調査書の比重がやや高めである「学力検査:調査書」=「4:6」の比重であれば、調査書の得点不足を学力検査で何とか補える可能性は残っており、学力検査での一発逆転を狙いに行けます。(※調査書の比重が大きい「学力検査:調査書」=「3:7」や「2:8」では、まず一発逆転は無理)

しかし、もし上記の「相関表」のみで合格者を決め、かつ調査書重視の選抜方法であったとすると、「学力検査:調査書」=「4:6」の比重であっても、学力検査での一発逆転はほぼ無理になってしまいます。

「相関表」の仕組みは省略しますが、「相関表」を使うとそういうことが起こります。(気になる方は北海道の受験制度を調べてみてください)

山口県は非公表なので「相関表」を使っているかどうかも分かりませんが、調査書と学力検査を同等に扱う他県の多くがこの選抜方法を採用しているという事実に、その可能性を持たざるを得ません。

⑪ 「調査書等による選抜」制度

山口県の入学者選抜実施要領には、

「定員の一部については、学力検査の成績が一定以上であれば、その高校の特色に応じた選抜ができる」という、通称「調査書等による選抜」制度が記載されています。(募集要項に10%とか20%とか書いてある数字のことですが、よくこれを全配点に対する内申点の割合だと勘違いされている方がおります)

これを簡単に説明すれば、

「学力検査での得点が少々低くても、調査書や面接、小論文、学校指定教科検査(令和3年度以降廃止)、部活動などの内容が優れていれば合格させてもいいよ」

という制度です。

県内の進学校にはほぼ推薦入試がありませんので、この制度を使いやや学力の劣るスポーツ強豪選手を入学させることもできます。中にはこの制度すらない進学校もあります。


それで、この「調査書等による選抜」はどのようにして行われるのか?
26年度の入学者選抜実施要領では確認できませんでしたが、手元にある19年度の公立高校入試の過去問題集にはこうあります。

「最初に行った選抜方法で合格内定とならなかった者を対象に、調査書等による選抜を行うことができる」

つまり、「調査書等による選抜」は最初に行った選抜方法で合格とならなかった者を対象にするのですね。

【追記】平成28年度以降の入学者選抜実施大綱に「調査書等による選抜」は「前段選抜」「後段選抜」で合格内定とならなかった者に実施するとありました。

⑫ 「二段階選抜」説

さて、「最初に行った選抜」があるということならば、つまり「後に行う選抜」もあるということです!

これを「二段階選抜」というのですが、最初にある選考方法で一定数の合格者を決め、残りの合格者は別の方法で決める仕組みです。


まあ、例のごとく、山口県は具体的にどんな方法で決めているのかは非公開なので謎ですが…、

なんと、18年度の公立高校入試の過去問題集には「前段選抜」「後段選抜」という記述があります!


この記述が当時の入学者選抜実施要領から抜粋したものかは分かりませんでしたが、「前段選抜」「後段選抜」という言葉の出てくる定説は、18年度以前の選抜方法をまとめた可能性が高いでしょう!

ただ、19年度以降の過去問題集や、最近の入学者選抜実施要領には「前段選抜」「後段選抜」という記述はありませんので、現在も定説と同じ方法が続いているのかまでは分かりませんが…

(これが入学者選抜実施要領に記述されている文言であれば決定的な事実だったのですがね)

まぁ、これまでの流れからして、

山口県の選抜制度は、一つの選考方法だけを用いる一段階選抜ではなく、二つの選考方法を用いる二段階選抜である可能性が大です。

【追記】平成31年度の入学者選抜実施大綱には「前段選抜」「後段選抜」の記述がありました。山口県は「二段階選抜」で間違いないです。
【再追記】よく調べてみると、この記事を最初に書いた翌年の28年度の大綱から「前段選抜」「後段選抜」記述がありました。



一方、入学者選抜実施要領にはこうもあります。

「調査書等による選抜」は「定員の20%以内」の範囲で認める。
(※「5%」「10%」「20%」と、割合は高校ごとに違いますが、毎年変化はありません)

「最初に行った選抜方法で合格内定とならなかった者を対象に、調査書等による選抜を行うことができる」訳ですから、「最初に行った選抜」のあとに、まだ「定員の20%以内」の合格者枠が残っていなければなりません。「最初に行った選抜」だけで全ての合格者が決まってしまう制度だと、「調査書等による選抜」はできなくなってしまいます。


そこで定説を思い出して下さい。

もし「最初に行った選抜」が、定説にある「学力検査点と調査書点の共に上位80%に入っている者を合格とする」という仕組みなら、可能な限り「最初に行った選抜」で合格者を決めたとしても、まだ「定員の20%」の合格者枠が残ることになるんですよね。

偶然にしてはよくできているこれらの関係。

私は、定説の「学力検査点と調査書点の共に上位80%以内に入っている者を合格とする」という仕組みは、今も有力な説であると思います。

⑬ 「面接、小論文、学校指定教科検査」の評価のされ方

【追記】平成28年度以降の入学者選抜実施大綱には「前段選抜」「後段選抜」「調査書等による選抜」の全てにおいて「面接、小論文、学校指定教科検査(令和3年度以降廃止)」を十分考慮するとありましたので、この⑬の考察は誤りです。

⑪に「面接、小論文、学校指定教科検査」という言葉が出てきましたが、入学者選抜実施要領の一般入試に関わる項目の中で、「面接、小論文、学校指定教科検査」を参考にしてよいとハッキリ記述されているのは「調査書等による選抜」(詳細は⑪)の説明の中だけです。

基本非公表なので断言できませんが、これまでの話から、たぶん山口県の選抜の仕組みはこうです。

最初に、ある選抜方法で定員の80%以内の合格内定者を決め、残った者の中から合格者を決める際に「面接、小論文、学校指定教科検査、部活動、生徒会活動など」を参考にする。最初の選抜の段階でこれらは評価されない。

私は、「学校指定教科検査」はてっきり250点満点の学力検査にそのまま加点されると思っていましたが、よく入学者選抜実施要領を読めば、こう考えるのが自然だと思います。

だとすればですよ、内申点重視の山口県において、⑨では内申点がボロボロの受験者だと逆転は難しいと言いましたが、「学校指定教科検査」で超高得点を取れば、一発逆転できる余地は残っています!

⑭ 「学校指定教科検査」

【追記】「学校指定教科検査」は令和3年度入試から廃止されました。なので、現在はこの⑭の考察は参考になりませんが、面白いので残しておきます。

さて、先ほどから出ている「学校指定教科検査」とは、H25年度から新たに実施されることになった、通常の国・数・社・理・英の各50点の学力検査とは別に行われる「国語・数学・英語の各20点の学力検査」です。

この「学校指定教科検査」は問題の難度が高く、これを実施する高校は進学校に限られています。

⑦で述べたように、H14年度から、通知表の評価が相対評価から絶対評価に変わりました。その影響で、あまり内申点が当てにならないという事例が、受験の現場では少なからずあったのではないでしょうか。

それに加え、「調査書を重視する」山口県の受験では、調査書の比重を高めるために調査書点を何倍かさせているはずですから、中には調査書での評価が実力とかけ離れて高い受験生もいるはずです。

そのことで特に困るのは進学校です。

内申点が高い生徒は勉強がしっかり身についているとして入学させていますが、実は全然できませんでしたとなると、各地域からの大学進学を一手に任されている進学校としては、大変指導に困るでしょう。逆に内申点は低いが、とても勉強ができる学生を不合格としてしまうのも不本意でしょう。

もし他県の入試制度のように、各高校が学力検査と調査書の比重を選べる仕組みであるのなら、比重を「学力検査:調査書」=「8:2」位にしてしまえば、あまり内申点の影響を受けずに実力のある者だけを選抜できるはずです。

でも、わざわざ「学校指定教科検査」を導入したってことは、山口県の入試では、そういった高校こどに学力検査と調査書の比重を選択することができないってことの裏付けだと思います。

たぶん「学校指定教科検査」を導入した背景には、こういった受験現場の事情に配慮するためだったのではないでしょうか。

「学校指定教科検査」を定員の20%以内の範囲でしか合格者を選抜できない「調査書等による選抜」のみで参考にできるとすることで、調査書重視の姿勢を貫きつつも、絶対評価の影響で調査書に現れない実力を持つ受験者を高校側が入学させられるようにしたのだと思います。

⑮ 非公表と調査書重視の関係

②でも申したように、全国的に試験制度が非公表の都道府県は、山口県を含め数県にとどまります。

その山口県は、ただ一言「調査書(内申点)を重視する」と明記しています。

私は、これまでの話の流れからして、これら非公表と調査書重視の姿勢は密接な関係にあると思います。

山口県をはじめ、ほぼ全国の自治体は、公教育の在り方として過度な競争をあおらない方針を旨としています。しかし、中1の内申点から受験には必要ですよって公表してしまうと、それを知った保護者たちは早くから塾に通わすなどして、結果競争をあおることに繋がってしまうでしょう。

そこで山口県は、基本的なことは全て非公表として、何も教えないことで競争をあおらない方針を維持しつつも、「調査書を重視する」という一言を明記することで、本当に何も教えないわけではなく、暗に中学入学時からの勉強が重要ですよって教えているのだと思います。

と、これは考えすぎですか…。

まぁどのみち、こうやって試験制度の詳細が分からずモヤモヤしているのですけどね。


以上が私の考察です。


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